第183章

久世直哉と久世美月は、すでに上階のVIP観覧ボックスから一部始終を見届けていた。

まさか酒井初音が、あれほどえげつないマガ術を使えるとは――想像すらしていなかったのだ。

この格闘カテゴリは、体格の小さい女性にこそ向いている。自分よりはるかに大きい相手を前提に、急所を見抜き、最短で、無駄なく、技術で「殺し」に寄せる。

普通の人間は、まず手を出さない。

なにしろ、練習の時点で危険すぎる。相手役がいれば、本人も相手役も、どちらかが確実に終わる。片方は留置、もう片方は病院か――火葬場。

そんなわけで、マガ術を本気で鍛える者は年々減っていった。特殊部隊の需要でもない限り、専門家の指導なしに独...

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